「沖縄のマグロはまずい」——正直に言うと、俺も最初はそう思ってたんですよね。
出張で全国47都道府県を回ってきた人間として、各地の魚には一応の自信がある。北海道の回転寿司、金沢の近江町市場、築地場外のマグロ丼……。「沖縄でマグロ? いや、ソーキそばとタコライス食べとけばよくない?」。これが俺の正直な先入観でした。
でもね、那覇の泊いゆまちで朝イチの生マグロを口にした瞬間に、その先入観は完全に粉砕されたんですよ。
この記事は、「沖縄のマグロはまずい」で検索してきた人のために書きました。あなたが実際に食べて残念に思ったのなら、その気持ちは否定しません。でもその「まずい」の原因は、マグロそのものではなく、食べ方・選び方・行く場所・行く時間帯にあった可能性が高いんです。
30年出張で全国回ってきた俺が、実際に泊いゆまちでマグロを食べ比べて検証した結果を、失敗談も含めて全部書きます。読み終わる頃には「次の沖縄旅行では泊いゆまちに行こう」と思えるはず。いや、思わせてみせますよ。
「沖縄のマグロはまずい?」——その気持ち、わかります
最初にはっきり言っておくと、「沖縄のマグロはまずかった」と感じた人の気持ちは本物です。
実際にネットの口コミを見ると、こんな声がある。
「500円のワンコイン海鮮丼を頼んだが、看板写真では豪華に見えたのに実物はご飯の上にマグロの切れ端が6切れほど。アラ汁も具がほぼ入っていない。観光客をバカにした店だと思う」(トリップアドバイザーより)
わかる。めちゃくちゃわかりますよ、この気持ち。看板の写真と実物の落差って、旅先で一番テンション下がる瞬間ですからね。俺も出張先で何度やられたことか。
「泊いゆまちの食堂に昼食で伺ったが、殆どのメニューが売切れだった。まぐろの刺身は美味しかったが、朝一に行ける方にはおすすめ」(トリップアドバイザーより)
この人、ものすごく大事なことを言ってるんですよ。「昼に行った」——これが全てなんです。市場で昼食を食べようとして行ったら殆ど売り切れ。そりゃあ残念な体験になりますよ。
でもね、ここからが重要な話でして。
「まずかった」という声をよく読むと、あるパターンが浮かび上がってくるんです。観光客向けの居酒屋で食べた。午後の市場に行った。キハダマグロのあっさりした味を本マグロと比較してしまった——。つまり、マグロそのものの品質ではなく、「食べ方」と「選び方」に原因があるケースがほとんどなんですよね。
いや、でもさ、普通に観光客が行く店で食べてまずかったら、それはもう「まずい」でよくない?
気持ちはわかる。でもな、それって「東京駅のチェーン居酒屋で食べた寿司がまずかった」と言って「東京の寿司はまずい」って結論づけるのと同じなんだよ。どこで・いつ・何を食べたかで体験は180度変わる。
そもそも沖縄はマグロ漁獲量”全国3位”の産地だという事実
「沖縄でマグロ?」と思うかもしれない。俺も最初はそうだった。でもな、数字を見てくれ。
沖縄県はマグロの漁獲量で全国3位。県内漁獲量の62%がマグロ類。那覇の水揚げ量は県全体の約50%を占める。しかも泊漁港で水揚げされるものの約70%がマグロだ。
これ、意外すぎませんか?
しかも沖縄のマグロには、本土にはない圧倒的な強みがある。近海に漁場があるため、冷凍せずに生鮮マグロの状態で港に揚がるんですよ。一本釣りで獲れたてをすぐ神経〆し、エラと内臓を除去。氷水に塩を加えてマイナス1℃のチルド状態で港まで運ぶ。この工程が鮮度を維持する秘密なんです。
どれくらいすごいかというと、金沢の近江町市場で鮮魚卸をやっている松本社長がわざわざ視察に来るレベル。近江町市場といえば、北陸の魚の目利きが集まるプロ中のプロの現場ですよ。そのプロが沖縄まで来て品質管理を確認しに行く。これだけで、沖縄のマグロがどれだけ本気かわかるでしょう。
俺は実際に泊いゆまちでセリの見学を申請して、朝5時台の現場を見たことがある。まだ薄暗い中でマグロが次々と運び込まれ、仲買人たちが真剣な表情で品定めをしている。観光客向けの華やかな市場とは全く違う、プロの世界だった。この体験があるからこそ、市場に並ぶマグロの「裏側」を語れるんです。
なぜ「沖縄=マグロ」のイメージがないのか
ここでひとつ、面白い話がある。
料理通信社の記者が沖縄を8回訪れた末にこう書いている——「”沖縄 グルメ”で検索しても上位10サイトにマグロを語った記事が見当たらない」と。ソーキそば、ちゃんぷる、サーターアンダーギーが常連で、マグロは完全に埋もれている。
その記者はこう表現したんですよ。マグロは「極めて奥ゆかしく、普段着の顔をして存在している」と。
いい表現だなぁと思った。沖縄のマグロは、観光客向けにドレスアップして目立とうとしない。地元の人が当たり前に食べている「日常食」だからこそ、観光客の目に留まりにくい。でもその「普段着」のマグロが、実はとんでもなく美味いんですよ。
つまりさ、沖縄のマグロは品質は全国トップクラスなのに、PRが追いついてないってことでしょ?
そういうこと。沖縄鮮魚卸流通協同組合は「沖縄美ら海まぐろ」というブランド名を導入したり、高校生によるまぐろレシピコンテストをやったりしてるんだけどね。まだ浸透しきっていない。だからこそ、この記事で伝える価値がある。
沖縄のマグロが「まずい」と感じる5つの本当の原因
さて、ここからが本題です。「沖縄のマグロはまずい」と感じた人の体験を分析すると、原因はほぼ5つに集約されるんですよ。
原因①|観光客向けの居酒屋で食べている
これが一番多いパターン。国際通り周辺や観光地の居酒屋で「県産マグロ刺身」と銘打たれた一品を食べて、「沖縄のマグロはこんなもんか」と判断してしまうケースです。
正直に告白すると、俺もやっちまったことがある。那覇市内の居酒屋で「県産まぐろの刺身盛り合わせ」を頼んだんですよ。出てきた刺身は、色が少し暗くて、食感もやや劣る。泊いゆまちで自分で買って食べた方がはるかに安くて鮮度も上だった。居酒屋の刺身は仕入れから時間が経っている分、市場直売の強さとは比べ物にならない。
泊いゆまちで直接買って食べた人と、居酒屋で食べた人では、同じ「沖縄マグロ」でも体験が天と地ほど違う。口コミの満足度もこの差で分かれているんですよね。
原因②|午後の品薄な時間帯に行っている
泊いゆまちの口コミで「がっかり」「残念」と書いている人の投稿をよく見てくれ。大半が午後に訪問しているんですよ。
市場は午前中が勝負。午後に行くと品薄・鮮度落ち・売れ残りに当たるリスクが一気に上がる。食堂の人気メニュー(中落ち丼等)は昼前に売り切れ、残るのは定番メニューのみ。選択肢が狭まった状態で「まずい」と判断するのは、正直フェアじゃない。
逆に、朝〜午前中に行った人の口コミを見ると、「期待以上」「築地と勝負できるコスパ」と高評価が圧倒的。時間帯だけで体験が180度変わる。これ、マグロの品質とは全く関係ない話なんですよ。
え、マジで?午後に行っちゃダメなの? 昼飯に市場で海鮮丼って、めちゃくちゃ普通の発想じゃん。
普通の発想なのはわかる。でも市場ってのは朝が本番なんだよ。築地だって豊洲だって、プロの仕入れは早朝に終わる。泊いゆまちに行くなら8時〜11時がゴールデンタイム。ここを外すと体験の質がガクッと落ちる。
原因③|マグロの種類を理解していない
ここ、めちゃくちゃ重要なポイントです。
沖縄で最も多く水揚げされるのはキハダマグロ。キハダは赤身があっさりしていて脂が少ない。本マグロ(クロマグロ)の濃厚な脂を期待して食べると、「味が薄い」「パサつく」と感じるんですよ。
でもこれ、キハダが「まずい」のではなく、キハダの持ち味を理解していないだけなんです。
「沖縄のマグロは種類で味が違うのか?」——これ、市場で一番気になった疑問だった。だから俺は実際にキハダ・メバチ・ビンチョウの赤身を同じ日に泊いゆまちで買って、宿で食べ比べたんですよ。
まずキハダ。色が明るい赤で、口当たりはあっさり。醤油をつけた瞬間に「あ、こっちの方が合う」と直感した。丼にするならキハダが一番合う。次にメバチ。色はやや暗く、脂がキハダより乗っている。刺身でじっくり味わうならこっちが好み。最後にビンチョウ。ピンクがかった色で、驚くほど柔らかい。わさびを多めにつけたら最高だった。
同じ「マグロの赤身」でもこんなに違うのかと、正直驚いた。「まずい」と言う前に「自分が食べたのは4種のうちどれか」を確認すべきなんですよ。種類が違えば味も全く違う。
原因④|わさび・醤油・食べ方の問題
泊いゆまちの口コミで繰り返し出てくる不満が、「わさびが適当」「醤油が有料」「醤油の質がイマイチ」。マグロそのものの品質は良くても、薬味と調味料で体験が台無しになるケースがあるんですよ。
実際に沖縄在住のグルメブロガーもこう書いている。
「まぐろ三色丼を注文。赤身・漬け・ねぎとろが楽しめて酢飯も選べるようになり以前より進化。ただ残念なのはわさびや醤油が適当なこと。わさびは持ち込もうかなと思った」(沖縄ランチブログZより)
この人の指摘、めちゃくちゃ的を射てるんですよね。マグロの品質は褒めてるのに、わさびと醤油で満足度が下がっている。市場で柵売りの刺身を買った場合、わさびと醤油を自分で用意する必要がある。知らずに買って「味が物足りない」と感じた人は、薬味の問題をマグロのせいにしている可能性がある。
ちなみにキハダマグロは醤油との相性が抜群だけど、脂が少ないぶんわさびを効かせすぎると辛味が勝ってしまう。種類に合った食べ方を知っているかどうかで印象は大きく変わるんです。
原因⑤|冷凍マグロとの比較で「違う」=「まずい」と感じている
これ、意外と見落とされがちな原因なんですよ。
本土で普段食べているのは冷凍→解凍マグロ。冷凍マグロは解凍時にドリップ(旨味成分を含む水分)が出るんですけど、それに慣れた舌には沖縄の生マグロの食感が「違う」と感じることがある。
生マグロはモッチリした弾力があるんですよ。冷凍マグロのしっとりした食感とは全く異なる。この「食感の違い」を「まずい」と誤解するケースが確実に存在する。
でも逆にね、冷凍マグロに慣れた人が生マグロを食べて「こんなに違うのか」と感動するケースも多い。口コミの「驚いた」「別物だった」はこのパターン。食感の違いに慣れると、生マグロの良さがわかる。「違う」は「まずい」ではなく、「まだ知らない美味しさ」なんです。
沖縄で食べられるマグロ4種——味の違いを知れば「まずい」は消える
さっきの食べ比べの話をもう少し詳しくさせてくれ。これ、この記事で一番伝えたいことのひとつなんですよ。
泊いゆまちの鮮魚店の店員さんに聞いた話では、沖縄で水揚げされるマグロは主に4種。それぞれ味も食感も全然違う。
キハダマグロ——あっさり赤身の王様、丼に最適
沖縄で最も多く水揚げされるのがキハダマグロ。色が明るい赤で、あっさりした口当たりが特徴。脂は少ないけど、そのぶんマグロ本来の赤身の旨味がダイレクトに来る。
俺が食べ比べで一番「なるほど」と思ったのがキハダだった。醤油をつけた瞬間に、赤身の旨味と醤油の塩気が完璧にマッチする。丼にするならキハダが一番合うと感じた。まぐろや本舗のねぎとろ丼に使われているのもキハダベースだけど、あのとろける食感は冷凍マグロでは絶対に出せない。
通年獲れるけど、冬場は脂の乗りが良くなる印象がある。「あっさりしすぎて物足りない」と感じた人は、冬場のキハダを試してみてほしい。
メバチマグロ——脂も旨味もバランス型、刺身で輝く
メバチはキハダと本マグロの中間に位置する「万能型」。色がやや暗い赤で、キハダより脂がある。
食べ比べで思ったのは、刺身単体で食べるならメバチが一番食べやすいということ。適度な脂があるから、醤油をつけなくても旨味を感じる。丼よりも刺身で、じっくり味わう食べ方に向いている。
旬は8〜3月頃。沖縄旅行のハイシーズン(冬〜春)と重なるから、この時期に行く人はメバチを指名買いすると幸せになれますよ。
ビンチョウマグロ——とろける柔らかさ、回転寿司のびんとろの正体
ビンチョウ(ビンナガとも言う)は、ピンクがかった白身に近い色をしている。食べ比べで一番驚いたのがこれだった。とにかく柔らかくて、まろやか。口の中で溶ける食感に「え、これマグロなの?」と思ったほど。
回転寿司で「びんとろ」って見たことないですか? あれがビンチョウです。わさびを多めにつけると、まろやかさの中にピリッとしたアクセントが加わって最高。
旬は秋〜冬(11〜4月頃)。ツナ缶の原料としても使われるくらい流通量が多いけど、生のビンチョウは缶詰とは別次元の美味さですよ。
本マグロ(クロマグロ)——5〜7月の贅沢、大トロ・中トロの別次元
いわゆる「マグロの王様」。5〜7月が旬で、大トロ・中トロの脂の乗りは圧倒的。ただし高価なので、市場でも見かける頻度は他の3種より少ない。
ちなみに2025年の沖縄県へのクロマグロ漁獲枠は大型魚236.5トン(過去最大)に引き上げられた。これ、消費者にとっては朗報で、県産本マグロが以前より手頃に手に入る可能性があるんですよ。6月の本マグロシーズンに泊いゆまちを訪れれば、運が良ければ県産の大トロに出会えるかもしれない。
糸満市の道の駅いとまんにある「まぐろ屋みーかがん本店」で食べた至福のまぐろ丼(2,178円税込)は、大トロ・中トロ・赤身・ねぎとろが一度に味わえる贅沢仕様だった。本マグロを本気で楽しみたいなら、このレベルの店に行く価値はある。
| 種類 | 味の特徴 | おすすめの食べ方 | 旬 | 価格帯 |
| キハダ | あっさり赤身、醤油と相性◎ | 丼・漬け | 通年(冬場が脂↑) | リーズナブル |
| メバチ | 適度な脂、万能型 | 刺身 | 8〜3月 | 中価格帯 |
| ビンチョウ | 柔らかくまろやか | 刺身・わさび多め | 11〜4月 | リーズナブル |
| 本マグロ | 濃厚な脂、大トロ・中トロ | 刺身・握り | 5〜7月 | 高価格帯 |
つまりさ、「沖縄のマグロはまずい」って言ってる人の大半は、キハダのあっさりした味を本マグロと比べてがっかりしてる可能性が高いってこと?
その通り。キハダのあっさりは「弱点」じゃなくて「持ち味」なんだよ。丼にしたらキハダが一番合うし、醤油との相性は本マグロ以上とさえ言える。「まずい」んじゃない、「違う美味しさ」なんだ。
「まずい」を「美味い」に変える5つの鉄則
原因がわかったら、あとは対策するだけ。この5つを守れば、沖縄のマグロで失敗する確率は激減する。
本当に美味しい店を知りたい方はこちら>>>

鉄則①|午前中(8:00〜11:00)に泊いゆまちへ行く
これが最も重要な鉄則。品揃え最大・鮮度最高・食堂もスムーズに入れる。この時間帯に行くだけで、体験の質が圧倒的に変わる。
毎年沖縄を訪れるリピーターの口コミにこんなものがある。
「近くのホテルに宿泊していたので早朝に行った。奥では大きなマグロが解体されていて、それを各店舗に運んでいる様子が見られた。この時間帯はゆっくりできる」(トリップアドバイザーより)
早朝に行けば、マグロの解体シーンまで見られる。これは市場ならではの体験で、食堂で丼を食べるだけでは味わえない。本マグロの時期(6月頃)は毎年通うというリピーターがいるのも、この体験の力だ。
鉄則②|ワンコイン丼に過度な期待をしない
ここは正直に書く。500円のワンコイン丼は、「市場価格の入口」として捉えるべきだ。フルコースを期待して500円を払うのは違う。
俺が泊いゆまちのまぐろや本舗で食べたねぎとろ丼は500円。酢飯を選び、イカスミ汁を付けた。口に入れた瞬間、ねぎとろが舌の上でとろける。冷凍マグロ特有のパサつきがゼロ。「これが500円?」と本気で声が出た。
でもね、これは当たりのパターン。口コミを見ると「切れ端が6切れ」「アラ汁に具がない」というがっかり体験も確かにある。日によって、時間帯によって当たり外れがあるのがワンコインの現実。
確実に満足したいなら、三色丼(800円〜)以上を選ぶことを強くおすすめする。みーかがんの生まぐろ丼(1,408円税込)は、切り身の厚さがまぐろや本舗と明らかに違った。赤身の色ツヤが鮮やかで、脂の乗った部分は口の中で溶ける。席もゆったりしていて、「ちゃんとした食事」として楽しめた。
500円で試す → 気に入ったら次は三色丼以上。この段階的な楽しみ方が、泊いゆまちの正しい攻略法ですよ。
鉄則③|マグロの種類を意識して選ぶ
あっさりならキハダ、脂ありならメバチ、贅沢するなら本マグロ(6月前後)。自分の好みに合った種類を意識して選ぶだけで、満足度がまるで違う。
泊いゆまちの中真水産で「今日のおすすめは?」と店員さんに聞いたら、「キハダの赤身が脂乗ってるよ」と教えてくれた。柵で500円。宿に持ち帰って切ってみたが、色ツヤが美しく、口に入れるとあっさりしつつも旨味がしっかり。店員さんに聞くのは最強の攻略法。その日の仕入れの中で一番いいものを教えてくれる。
鉄則④|市場で直接買うか、市場直送の専門店を選ぶ
居酒屋の「県産マグロ」は仕入れルートと鮮度を確認した方がいい。一番確実なのは、市場で直接買うこと。
泊いゆまちでキハダマグロの柵(赤身・約300g)を800円で購入し、宿泊先のミニキッチンで刺身にしたことがある。包丁と醤油だけあれば十分。居酒屋で同量の刺身を頼んだら2,000円は超える。柵買い→宿で切るのが、沖縄まぐろを最もコスパ良く楽しむ方法だと確信した。
「沖縄まで行けないよ」という人には朗報がある。泊いゆまちから自宅にマグロの柵をクール便で全国発送してもらえるんですよ。発泡スチロール+保冷剤で梱包され、翌日到着。送料込みで3,500円程度。届いた柵を切ってみたが、現地で食べたのとほぼ変わらない鮮度だった。
鉄則⑤|わさび・醤油にこだわる
こだわるなら持参する。食堂なら備え付けのもので妥協する覚悟を持つ。市場の醤油やわさびに文句を言っても仕方ない。マグロの品質が良いからこそ、薬味で差がつくんですよ。
キハダマグロは醤油との相性が最強。でもわさびは控えめに。脂が少ないぶん、わさびを効かせすぎると辛味がマグロの旨味を消してしまう。メバチやビンチョウならわさび多めでもOK。種類に合わせた薬味の使い方を覚えるだけで、同じマグロでも体験が変わる。
泊いゆまちで実際に食べ歩いてわかった「当たりの店」と「楽しみ方」
ここからは、俺が実際に足を運んで食べてきた店の話をさせてくれ。ガイドブックに書いてある情報じゃなくて、自分の舌で確かめた正直な感想です。
まぐろや本舗——ワンコインの入口、でも本命は三色丼以上
泊いゆまちと言えばまず名前が出るのがまぐろや本舗。ワンコイン丼(500円〜)で有名だけど、本命は三色丼以上だと思っている。
10時半に泊いゆまちに着いて、まっすぐまぐろや本舗に向かった。ねぎとろ丼、500円。汁物はイカスミ汁を選んだ。口に運んだ瞬間、「これ500円でいいの?」と本気で声が出た。ねぎとろが舌の上でとろける。冷凍マグロとは食感からして別物だ。隣の席のおっちゃんはアラ汁を頼んでたが、あれも具がゴロゴロ入っていてうまそうだった。次はアラ汁にする。
トリップアドバイザーにはこんな声も。
「朝に伺った。満席状態で外国の方も生物が好きのようだ。まぐろ丼は新鮮でボリュームもあり、とても美味しかった。期待以上。店員さんもとても親切」(トリップアドバイザーより)
朝に行けば期待以上。ここがポイントなんですよね。ちなみにメシ通の取材記事によると、朝6〜11時限定の「海鮮卵かけご飯」というメニューもあるらしい。メバチマグロとソデイカが紅白鮮やかに白米を彩る。これ、次回必ず食べに行くリストに入れた。
みーかがん——切り身の厚さが違う、本気のマグロ丼
みーかがんは三高水産直営の食堂で、泊いゆまち内に2024年12月にオープンした2号店がある。生まぐろ丼(1,408円税込)を注文したんだけど、切り身の厚さがまぐろや本舗と明らかに違う。
赤身の色ツヤが鮮やかで、脂の乗った部分は口の中で溶ける。席もゆったりしていて、「ちゃんとした食事」として楽しめた。ワンコインの手軽さとは違う、腰を据えてマグロに向き合う体験ができる。
地元の人の使い方が面白い。Yahoo!ニュースの記事で、沖縄在住の2児のママがこう書いている。
「娘に『お昼ご飯何食べたい?』と聞くと即答で『まぐろ!』。回転寿司ではなく迷わず泊いゆまちへ。みーかがんでは県産生まぐろが半額で買えるコーナーがある」(Yahoo!ニュース エキスパートより)
沖縄の子どもが回転寿司よりも泊いゆまちを選ぶ。これ、すごいことだと思いませんか? 地元民が日常的に通う場所だからこそ、品質も価格も維持されている。観光客だけを相手にしている店とは根本的に違うんですよ。
半額コーナーの存在は、他のブログやガイドブックではほとんど触れられていない裏技。行ったら必ずチェックしてみてくれ。
中真水産・沖縄海鮮問屋——柵買い派とつまみ食い派の使い分け
泊いゆまちに入って最初に目についたのが中真水産だった。マグロの赤身の柵売りと刺身パックが充実していて、「今日のおすすめは?」と聞いたら「キハダの赤身、今日は脂乗ってるよ」と教えてくれた。柵で500円。丁寧な接客で観光客にもわかりやすい。牧志公設市場にも同名店舗があるが、泊いゆまち店の方がマグロの品揃えは多い印象。
一方、沖縄海鮮問屋は天ぷらが強い。さかな・いか・いもの天ぷらが1個80円。揚げたてサクサクで、3個買っても240円。獲れたてのタマンをお造りにしてもらって、店内奥のテーブルで醤油をつけて食べた。コリコリした歯ごたえが絶品だった。
中真水産は「柵買いして宿で食べる」向き、沖縄海鮮問屋は「食べ歩き」向き。使い分けを知ると、泊いゆまちの楽しさが倍になる。
食べログにはこんな声もある。
「コスパの神。沖縄の魚介類の全てがここにはある。以前までは牧志市場に行っていたが、これからは泊いゆまちで魚介類は食べたい」(食べログより)
牧志公設市場から泊いゆまちに「乗り換えた」という声は実は多い。2階で食べる牧志と違って、泊いゆまちは1階の市場内でそのまま食べられる手軽さがある。価格もこちらの方がリーズナブルな印象。
それでも「まずい」と感じたなら——正直に言うデメリットと注意点
ここまで「沖縄のマグロは美味い」寄りの話をしてきたけど、デメリットも正直に書いておく。これを書かないと信用されないからね。
- ワンコインメニューは価格相応で当たり外れがある。500円に豪華さを求めるのは酷。確実に満足したいなら800円以上のメニューを選ぶこと
- 居酒屋の「県産マグロ」は仕入れルート次第。全ての居酒屋が市場直送とは限らない。鮮度が落ちている場合がある
- 午後の市場は鮮度が落ちる可能性がある。人気メニューは売り切れ、残るのは定番のみ。午後しか行けない場合は期待値を下げておく
- イートインスペースは狭い。混雑時は椅子に座れない場合もある。ピーク時間(10:00〜12:00)を避けるか、テイクアウトで対応
- 駐車場が狭い。車で行く場合は近隣のコインパーキングを使う覚悟が必要
- 生マグロの食感に馴染めない人もいる。冷凍マグロの食感に慣れていると、生マグロのモッチリした弾力に違和感を覚えるのは自然な反応。何度か食べると良さがわかるようになる
トリップアドバイザーにもこんな指摘がある。
「駐車場はあるが狭い。店内の奥に机が2つと椅子が5〜6個しかない。混んでる時間は車で食べるしかない」(トリップアドバイザーより)
設備面は確かに弱い。でもね、それは泊いゆまちが「観光施設」ではなく「現役の魚市場」だから。地元の仲買人やプロの料理人が仕入れに来る場所に、一般人も入れてもらっている——そういう感覚でいた方が楽しめると思いますよ。
つまり、デメリットはあるけど「マグロの品質」とは関係ない問題がほとんどってこと?
そう。イートインが狭いとか駐車場が少ないとかは施設の問題であって、マグロの味とは無関係。「マグロがまずい」と「市場の設備が不便」は分けて考えるべきなんだよ。
まとめ——沖縄のマグロは「まずい」のではなく「まずく食べてしまった」だけだ
この記事で伝えたかったことをまとめます。
「沖縄のマグロはまずい」——この声の裏には、ほぼ例外なく5つの原因がある。
- 観光客向けの居酒屋で、仕入れから時間の経った刺身を食べた
- 午後の品薄な市場で、売れ残りに当たった
- キハダマグロのあっさりした味を、本マグロと比較してがっかりした
- わさび・醤油の質や量で、マグロの良さが活かされなかった
- 生マグロの食感を、冷凍マグロの基準で「違う=まずい」と判断した
沖縄はマグロ漁獲量全国3位。冷凍しない生マグロが水揚げされる、正真正銘のマグロ産地だ。近江町市場のプロがわざわざ視察に来るレベルの品質管理がされている。
午前中に泊いゆまちに行き、種類を理解して選び、市場直送の鮮度で食べれば、本土の冷凍マグロとは次元の違う体験になる。
俺も正直、最初は「沖縄でマグロなんて」と思ってた。でも泊いゆまちで朝イチの生マグロを食べた瞬間に、その先入観は吹き飛んだ。キハダ・メバチ・ビンチョウを食べ比べて、それぞれの個性に驚いた。柵を買って宿で切って、「居酒屋で2,000円出すのがバカらしい」と本気で思った。
「まずい」で終わらせるのは、あまりにもったいない。
次の沖縄旅行で、朝8時に泊いゆまちに立ってみてくれ。活気のある市場で、目の前で捌かれたばかりの生マグロを一口食べたら、きっとこう思うはずだ。
「今まで食べてたのは何だったんだ」と。
定年したら、また泊いゆまちに行く。妻と二人で朝イチから市場を回って、キハダの柵とメバチの柵を両方買って、宿で食べ比べをする。そのための「もう一度行きたい店リスト」が、また1軒増えた。
迷ったら俺に聞け。ハズレを引いて貴重な旅の1食を無駄にするのは、俺の読者じゃないからな。
[※ここに泊いゆまちの外観写真を挿入]